大判例

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大阪地方裁判所 平成8年(わ)3821号・平9年(わ)479号 判決

主文

被告人ラクダ急送株式会社を罰金一八〇〇万円に、被告人金初雄を懲役一年に処する。

被告人金初雄に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人ラクダ急送株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪府東大阪市新庄五七九番地の一に事業所を設けて運送事業を営み、被告人金本初雄こと金初雄(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、

第一  被告会社は、居住者に給与等の支払いをする源泉徴収義務者、被告人は、被告会社の業務に関し、居住者である被告会社の従業員に対する給与等の支払いの際、所得税を徴収して、各微収の日の属する月の翌月一〇日までに、これを同市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署に納付しなければならないのに、別表記載のとおり、平成五年一一月から平成七年九月までの間、被告会社の従業員に対し、給与等として合計九億一五七三万八六五九円を支払った際、右従業員から所得税として合計四八六一万八〇七三円を徴収しながら、各徴収の日の属する月の翌月一〇日までに、同税務署に全く納付せず、もって、右金額の所得税を納付しなかった。

第二  被告人は被告会社の業務に関し、消費税を免れようと企て、

一  平成四年二月一日から同五年一月三一日までの課税期間における被告会社の実際の課税標準額が九億三四〇六万一〇〇〇円で、これに対する消費税額が二八〇二万一八三〇円であり、これから控除されるべき消費税額が二一四一万九七〇三円であって、納付すべき消費税額が六六〇万二一〇〇円であるにもかかわらず、実際の課税標準額には関係なく、ことさら過少な課税標準額等を記載した消費税確定申告書を作成した上、同六年一月一三日、所轄前記東大阪税務署において、同署署長に対し、右課税期間の課税標準額が一億三〇万八〇〇〇円で、これに対する消費税額が三〇〇万九二四〇円であり、これから控除されるべき消費税額が二〇四万八三九二円であって、納付すべき消費税額が九六万八〇〇円である旨の内容虚偽の消費税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右課税期間の納付すべき消費税五六四万一三〇〇円を免れた

二  平成五年二月一日から同六年一月三一日までの課税期間における被告会社の実際の課税標準額が一〇億八八三四万四〇〇〇円で、これに対する消費税額が三二六五万三二〇円であり、これから控除されるべき消費税額が二六一八万六〇七二円であって、納付すべき消費税額が六四六万四二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の消費税確定申告書を作成した上、同六年七月一日、所轄前記東大阪税務署において、同署署長に対し、右課税期間の課税標準額が一億八八三一万九〇〇〇円で、これに対する消費税額が五六四万九五七九円であり、これから控除されるべき消費税額が三一五万二五七九円であって、納付すべき消費税額が二四九万七〇〇〇円である旨の内容虚偽の消費税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右課税期間の納付すべき消費税三九六万七二〇〇円を免れた

三  平成六年二月一日から同七年一月三一日までの課税期間における被告会社の実際の課税標準額が一七億三五二一万六〇〇〇円で、これに対する消費税額が五〇二五万六四八〇円であり、これから控除されるべき消費税額が二八一六万四八円であって、納付すべき消費税額が二三八九万六四〇〇円であるにもかかわらず、前同様の消費税確定申告書を作成した上、同七年四月一九日、所轄前記東大阪税務署において、同署署長に対し、右課税期間の課税標準額が二億一八一八万八〇〇〇円で、これに対する消費税額が六五四万五六四〇円であり、これから控除されるべき消費税額が三〇三万九六〇四円であって、納付すべき消費税額が三五〇万六〇〇〇円である旨の内容虚偽の消費税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右課税期間の納付すべき消費税二〇三九万四〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

かっこ内の番号は検察官の証拠請求番号を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官調書(乙一)

一  所轄税務署の所在地についてと題する書面(甲七五)

一  商業登記簿謄本(乙四)

判示第一の事実について

一  被告人の検察官調書(乙二)

一  不納付脱税額計算書(甲一)

一  査察官調査書一三通(甲二ないし一四)

判示第二の事実全部について

一  被告人の検察官調書(乙三)

一  藪本治の検察官調書(甲七六)

一  査察官調査書三九通(甲二一、二二、二五ないし三五、四九ないし七四)

判示第二の一の事実について

一  脱税額計算書(甲一五)

一  証明書(甲一八)

一  査察官調査書五通(甲二三、三六、三九、四三、四六)

判示第二の二及び三の事実について

一  査察官調査書(甲二四)

判示第二の二の事実について

一  脱税額計算書(甲一六)

一  証明書(甲一九)

一  査察官調査書四通(甲三七、四〇、四四、四七)

判示第二の三の事実について

一  脱税額計算書(甲一七)

一  証明書(甲二〇)

一  査察官調査書五通(甲三八、四一、四二、四五、四八)

(法令の適用)

被告人の判示第一の所為は別表各番号ごとにいずれも所得税法二四〇条一項に、判示第二の各所為はいずれも消費税法六四条一項一号前段に、それぞれ該当するところ、いずれも、所定刑中懲役刑を選択し、以上は平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文により同法の改正前の刑法(以下、旧刑法という。)四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により刑及び犯情の最も重い判示第二の三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により旧刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

さらに、被告人の判示各所為は、被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示各所為につきいずれも罰金刑を選択し、判示第一の各罪について所得税法二四四条一項により同法二四〇条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して右の罰金額はその納付しなかった所得税の額に相当する金額以下とし、判示第二の各所為については消費税法七〇条一項により同法六四条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して右の金額はそのほ脱税した消費税の額に相当する金額とし、以上は旧刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一八〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(出席した検察官 宮田誠司、求刑、被告人につき懲役一年、被告会社につき罰金二五〇〇万円)

(裁判官 伊元啓)

別表

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